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2023.09.28

いざというときは、長命防災食品があった!

いざというときは、長命防災食品があった!

「ローリングストック」による非常食ストックが日常に定着しつつありますが、こまめな管理が苦手、あまり自炊をしないという方には生活に取り入れにくい場合もありそうです。
どんな方でもストックしやすく、ライフラインが止まってもサッと食べられる非常食、1回そろえたら安心!の「長命防災食品」についてご紹介します。

いざというときに備えたい「防災食品」

災害への備えとしてまず思い浮かぶ「非常食」「防災食」。一般的には3日~1週間分の準備があるとよいとされています。
以前は、「まずは腹持ち」を重視していたため、乾パンなどの「非常時しか食べない食品」が多く、「おいしさ」「食べる喜び」など食事の質は優先されませんでした。しかし、阪神・淡路大震災、東日本大震災、毎年のように起きる集中豪雨などの大災害を経て、「被災時の食」についての価値観は大きく変わりつつあります。ストックのしやすさ、食べやすさ、食の喜びなど、さまざまなベクトルが配慮されるようになりました。
まずは、防災食最新情報について知っておきましょう。

どんなものを、どれくらい揃えればいい?

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」によると、災害発生からライフライン復旧までの目安は約1週間。最低でも、支援物資が届き始めるまでの3日間を乗り切る食料、水分の備蓄が必要だそう。大規模災害の場合に備えるなら1週間分はストックしておきたいとのことです。

・大人2人分、1週間の場合

必需品 水2L×6本×4箱(1人1日3L程度)
カセットコンロ、ボンベ×12本(1人1日1本弱程度)
主菜 肉・野菜・豆などの缶詰×18缶
牛丼の素やカレーの素などのレトルト食品×18個
パスタソースなどのレトルト食品×6個
主食 カップ麺類・パックご飯×各6個
乾麺(そうめん300g×2袋、パスタ600g×2袋)
副菜と果物・例 梅干し、漬物、日持ちする野菜類
野菜の缶詰、野菜ジュース
りんごやみかん、柿など日持ちのする果物
果物の缶詰、ジュース、ドライフルーツ
その他 菓子・嗜好品(あめ、羊羹、チョコレート、ビスケットなど)
調味料(味噌、醤油、塩、砂糖、酢、食用油など)
インスタントみそ汁や即席スープ

(出典:政府広報オンライン

備蓄・ローリングストックで日常生活に「備え」を取り入れる

最近主流となっているのが、本サイトでも度々紹介している「ローリングストック」。普段から食べている食品を少し多めに買うようにして、日常生活の中で消費しては買い足していきます。「蓄える→食べる→補充する」というサイクルを上手に回すことで、災害時にも平時に近い食生活を送れるとされています。
ただし、日常的に自炊をしていて、家族からも理解を得られる家庭でないと難しいという声も。消費期限の管理や、買い物の際の負担増加などに加え、家族がローリングストックの管理状況を理解しておらず、賞味期限の新しいものから食べてしまってストックの数や期限の管理が狂ってしまうなど、ローリングストックを続けるのは難しいと感じる方も多いようです。

普段も食べたくなる防災食

普段から自炊が多く、防災意識の高いご家庭であれば、ローリングストックがコスト・スペースの面で合理的。とは言え、ライフスタイルや家族の食の好みなどを考えると自分には合わない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
防災食というジャンル自体もここ数十年で大きく進化し、普段の食事に取り入れても遜色のないものも増えています。ここで、どんな防災食があるか調べてみました。

栄養バランスを担保する「主菜」系

缶詰、レトルト、充填豆腐、フリーズドライソース・おかず、乾物など

非常時でもご飯がおいしく思えると心がホッとするものです。いざというときも「おいしい!」と思える食事となると、食事の印象を大きく変える「主菜=おかず」がポイントになります。
種類が多いので、普段の生活にも積極的に取り入れて家族の好みを探るといいでしょう。味の濃さ、栄養バランスなども平時なら落ち着いて確認することができます。また、チョイ足しや味変などでバリエーションを付けるトライをしておくと、少しでも楽しい食卓を演出できますね。忙しさのあまり外食が増えがちな共働きのご家庭などは、どうしても料理に手が回らないときのために備えておくと安心な食材です。

なにはなくとも食事の基本「主食」系

アルファ化米、パック米、フリーズドライ雑炊・粥、パスタなど

調理が楽なだけでなく、味のバリエーションも増えています。こちらも、忙しいときの食事対策として日常生活で活用してみましょう。パック米の温め方や、アルファ化米の作り方など、食べ慣れていれば、非常時でも手間取ることもありませんね。

栄養バランスを担保する「副菜」系

日持ちのする野菜類、昔ながらの保存食(乾物・漬物)、野菜系の缶詰、スープ・味噌汁

非常食というと、とりあえずお腹を満たすものとして主食・主菜に目が行きがちで、ついつい体の健康を保つための栄養バランスは考慮から外れてしまうことも多いものです。
しかし、避難生活が長引く場合、健康の維持はとても大事な問題です。副菜を上手に取り入れて、健康な体で非常事態を乗り切りたいですね。

被災時の食事に彩りを添える「嗜好品や調味料」

ロングライフ牛乳・乳製品、お菓子、日持ちのする果物、フルーツ・野菜ジュース、果物の缶詰、ドライフルーツ、ふりかけやジャム・調味料など味変アイテム

被災生活も長くなるとだんだん飽きてくるもの。嗜好品や味変アイテムなどを上手に取り入れて、食生活のストレスを軽減したいですね。
こちらも普段から家族の好みに合ったものや主食や主菜と組み合わせておいしく食べられるものなどを試しておくと、被災生活に彩りを添えることができます。

防災食の新トレンド「超長命防災食」

大規模災害が増える中、官公庁などでも導入が進んでいるのが「超長命防災食」。一般的な防災食の賞味期限が3~5年の中、7~25年と、一回買ったら入れ替え不要なほど長命なものも登場しています。その仕組みや種類、食べ方について調べてみました。

どうしてそんなに長持ちするの?

食品の質を左右するのが空気と水分、光。そこで、長命防災食はフリーズドライで極限まで水分を取り除いたり、酸素と光をシャットアウトするパウチに封入したうえで空気を不活性ガスに交換するなどして、食品の質を長期にわたって保つ工夫がなされています。

どんな種類? どうやって食べるの?

超長命防災食には、水、ごはん・パン等の主食、シチュー・パスタ等のレトルト食品、クラッカーなどがあります。一般的な防災食と同じく、封を開けたらそのまま食べられるもの、水を注いで10分程度で食べられるものなど、手間や時間を書けずに食べられるものがほとんどです。普段料理をしない方や、高齢の方でも手軽に準備することができます。

長命防災食のメリット・デメリット

メリットは、なんといっても保存期間の長さ。長いもので数十年というものまであり、頻繁に買い替える必要がないのは嬉しいポイントです。保存期間は食品の種類やパッケージの形態によって変わってきます。
デメリットは、1回の購入単価が高いこと。1食500~600円など通常の防災食と比べると割高な印象があり、例えば25年分を見越して一度に購入することになるため、お財布へのインパクトが大きくなります。また、近年バラエティ豊かになっている5年前後保存可能な非常食に比べると種類が少ない点も、デメリットとなるかもしれません。

かしこい防災食の備え方

価格も高めで種類にも限りのある長命防災食。メリットも大きいのですが、それだけで備えを万全にするのは難しそうです。賢い防災食の備え方を考えてみました。

デメリットとして「1回の購入単価の高さ」を挙げましたが、買い替えサイクルと総コストを考えると長命防災食は他の防災食に比べて特にコスパが悪いとも言えません。例えば、「値段÷保存期間」で年間コストを考えると、一般的な防災食の半額程度になるものもあります。ただ、保存期間が5年前後の非常食に比べると種類が豊富とは言えず、残念ながら備蓄リストにあるものをすべて長命防災食で備えることはできません。

そこで、次の3つに分けて準備しておくと、それぞれの特性を生かし、防災食品の管理負担を軽減することができます。

①長命防災食で備えるもの
②5年程度で補充し直すもの
③日常的に使う缶詰・レトルト食品やドライフーズなど、賞味期限が数年のもの

①については、一度購入すれば当面見直し不要で、賞味期限管理から解放されます。

②については、ライフステージの変化とともに見直しをするのもよいでしょう。お子さんがいる場合、5年程度で食の好みも変わっていくので、家族で防災食について話し合う良い機会とも言えます。

③については、ローリングストックで、賞味期限の古くなった順に日常的に消費しつつ、常に一定量ストックしておくと安心です。家族が好きな味や嗜好品を選ぶと、自宅避難時の気分転換にもなります。

また、マンションだと置き場所が限られることも防災食管理の悩みですが、①~③のように大きく分けておくと収納しすくなります。また、収納エリアを分けた際、②や③の保管場所に、長命防災食の保管場所と賞味期限を、メモをしておくとよいでしょう。数十年保管ができるがゆえに、長命防災食があること自体を忘れてしまうのを防げます。特に家族全員が、いざというときに「どこに何があるのか」わかることが大切です。
ほかにも、高齢のご家族が一人暮らしされている場合など、長命防災食を用意しておくと、こまめな賞味期限管理の心配が減ります。少しでも不安を軽減するために、うまく活用していきたいですね。

今回は防災食のヒントをお届けしました。天候の変動で毎年のように日本のどこかで自然災害が起きている昨今。他人事ではなくなっている被災生活、しっかり備えておきたいですね。

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