マンションライフを楽しむMANSION LIFE
2018.11.29
教えて!子ども部屋をつくるタイミングと上手なレイアウトのポイントとは?
「子ども部屋っていつ作ればいいの?」家族が増えると、こんな話題が気になりますよね。
今回は、最近子ども部屋作りの相談を多く受けるという、二級建築士・髙橋亜里紗さん(https://www.takahashi-home.com/)に、子ども部屋を作るタイミングや作り方について伺いました。
子ども部屋を作るベストなタイミングは?
「マンションを購入するご家族の多くが『将来どの部屋を子ども部屋にするのか』を想定して、間取りを考えています」と髙橋さん。子ども部屋作りのタイミングとしては、"思春期(中学入学頃)に入る前"が主流のようです。また、ウォークインクローゼットを子ども部屋に変更するなど、もともとの用途に縛られずにレイアウトを変更して対応する傾向にあるのだとか。
子どもの人数、年齢差、性別などによっても違ってくる子ども部屋を作るタイミング。ベストなタイミングはいつなのか、髙橋さんに、よくある事例を教えていただきました。
※男の子は小学高学年から、女の子は小学中学年から思春期に入り始めると言われています。
◇ひとりっ子の場合
- 入居時から子ども部屋を確保しているものの、就学前あたりから、自分の持ち物(洋服やおもちゃなど)を、子ども部屋で自分で管理する練習を始める家庭が多く見られます。
- 子どもの個性に合わせて、「自分の部屋で勉強したい」「1人で寝たい」と言い始めるタイミングを見計らって個室へと移行するとスムーズです。
◇年齢が近い兄弟の場合
- 年が近いと生活のリズムが似ていることから、小学生のうちは子ども部屋を共有。
- 上の子どもが中学生になる頃、または受験勉強がスタートするタイミングでそれぞれの個室を用意する家庭が多いです。
◇年齢が離れた兄弟の場合
年が離れていると、幼い弟、妹が宿題や学校の道具にいたずらしてしまう、ということがあります。上の子が小学生低学年であっても、場合によっては個室を用意することで、兄弟間のトラブルが少なくなるようです。
◇性別が違う兄弟の場合
- 同性の兄弟と違って、それぞれに個室(またはプライベート空間)を用意する必要性があります。
- 女の子が着替えを意識し始める時期を考慮して、親の方から分けるタイミングを作ってあげることで、子どもたちも自然と順応できるようになります。
家族が増える、入園入学、思春期、受験など、ライフステージの変化に合わせて子ども部屋を作る家庭が多いようです。
次は、成長に合わせたレイアウトと、子ども部屋作りのアイデアの多様な事例を紹介します。
リビング学習がうまくいくレイアウトのコツとは?
夫婦+息子2人(小5、小2)4人家族の場合
親の目の届く範囲で勉強させたい、と最近ニーズが高まっているリビング学習。とはいえ、リビングに教科書や子どもの荷物が散乱してしまうのでは?という不安の声も聞かれます。リビング学習を上手に取り入れている家庭の事例から、リビングに置く学習机の選び方、整理整頓の工夫を紹介します。
◇リビングで学習するためには?(写真・間取図参照)
机や収納は、いずれ個室に移動して使う可能性を考え、作り付けにはせず既製の机を選ぶとよいでしょう。学校用品は、キッチンカウンター上に設置した棚に収納して、雑多な物は見せない工夫もされています。
◇同じものを同時購入で見栄えを整える(写真・間取図参照)
上のお子さんが小学校に入学する時、下のお子さんは未就学児でしたが、二人に同時にお揃いの机を購入したそうです。それぞれの子どもの入学に合わせて購入時期をずらすと、同じメーカーの机でも、デザインが変化することもあります。同じデザインの机なら、インテリアに統一感を持たせることができますね。
◇机の色は壁の色と同化する色にして存在感を消す(写真参照)
リビングに机を2台置くと圧迫感が出てしまうので、壁の色に合わせて白の天板のものを選び、少しでも広く見えるように。また、同じ理由で机の上には棚を取り付けていません。そうすることで、ずいぶんとスッキリとした印象にまとまっています。
リビングに机や学校用品があると、どうしても狭さは感じてしまいますが、「リビングはみんなの部屋」ということを家族で共有しながら、「消しゴムのカスを床に落とさない」「自分の物は自分の場所に片付ける」などのルールで快適さを保っているそうです。
小さな工夫を重ねることで、親の目が届くことと、集中して勉強できる環境作りとを両立させながら、お互いに気持ちよく過ごせるお部屋作りができそうですね。
早い段階でも子ども部屋を用意した事例の紹介
夫婦+娘(小2)3人家族の場合
子どもの自立を考慮して、早い段階で子ども部屋をつくった事例です。子どもの様子が感じられるようにドアを外すなど、成長に合わせて大胆に変化させる部屋の作り方、過ごし方を紹介します。
◇自分の部屋で、自由に過ごす時間を大切に(写真・間取図①参照)
子ども部屋の壁なら「お絵描きをしても、何を貼ってもいい」という約束にしています。また、ロフトベッドを置いて、下には洋服をかけられるようにしつらえ、簡易クローゼットを作りました。1人で自由に遊べる空間を作り、自分の物を自分で管理することで、少しずつ自立を促すことができるようです。
◇敢えてドアを外し、子どもの様子を気にかけられるように(写真・間取図①参照)
リビングと子ども部屋とを仕切っていたドアを外すことで、導線がスムーズに。子どもは行き来がしやすく、親は子ども部屋の様子がよくわかります。ドアを取り付けて完全に個室にするタイミングは、親子で話し合って決めるとよいようです。
◇勉強と遊ぶ部屋は分けてメリハリを(間取図②参照)
勉強をするのは親の目が届くリビングのダイニングテーブル。学校用品は壁面収納の一部に納めています。勉強する部屋と遊ぶ部屋とを分けることで、家で過ごす時間にメリハリを作ることができますね。
子どもが小さいうちから、思うままに過ごせる空間と、自分の持ち物を自分でやりくりできる環境を作ってあげたいと考えたそうです。思い切ってドアを外すことで、子どもとの暮らしを分断させることなく、スムーズに子どもの自主性を育むことができそうですね。
兄妹それぞれの個室をつくった事例の紹介
夫婦+息子(中2)+娘(小5)4人家族の場合
性別の違う兄妹には、ある程度の年齢になるとそれぞれに個室を与えたい。しかし、その分、家族の収納スペースは減ってしまうという新たな課題も生まれます。子どもが異性だった場合の部屋を分けるタイミングや、収納や暮らし方の工夫について紹介します。
◇個室をあたえるタイミングを見極める
上のお子さんが小学5年生の時に、リビングに面した2部屋を兄と妹で分けました。思春期に入ってからだと部屋にこもってしまうのでは?と考えたことと、妹が着替えなどを意識し始める前、少し早いかな、と思うくらいのタイミングで個室を作ったそうです。思春期の前、お互いを意識していない、また敢えて個室を欲しがっていない時期に部屋を分けて、暮らし方の変化をゆっくりと順応させる工夫もしました。
◇子ども部屋の1畳~1畳半を家族の共用部分にする(間取図①参照)
2部屋を子どもの専有部分にすると、家族共用の荷物の収納場所がなくなってしまいます。そこで、部屋の一部を家族共有のスペースにして、子どもの専有部分との境に突っ張り式カーテンレールを設置。カーテンで仕切っただけでも、十分に個室らしいしつらえとなり、それぞれに個室をあたえることと、収納の問題の両方を解決できます。
◇ロフトベットで収納力をアップ(間取図②参照)
子どもたちが使っているスペースは4畳半ほど。ロフトベットの下の部分を収納スペースにすることで、床面積の狭さを克服しています。子どもにとってはちょっとした基地のようで、楽しい空間になっています。
部屋の一部を家族で共有していると、収納してある物を取るために子ども部屋に入ることになります。その場合、部屋に入るときは声をかけてからなど、家族間のルールを作っておくことも大切しているそうです。子どものプライバシーを守ってあげながら、こもりきりを防ぎ、小さな変化にも気づきやすくなるようです。
子ども部屋もライフステージの変化にあわせて柔軟に
思春期、受験期は子どもの意思や希望することに変化が表れる時期でもあります。一度決めた間取りでも、場合によっては変更を余儀なくされることも。状況に合わせて子どものスペースや家の中のレイアウトも柔軟に変えていくことが大切です。年代に合わせて子ども部屋をリセットすることで、家族全員にとっての暮らし改善にもつながります。
子どもが成長したなと感じたら、引っ越しをするような感覚で不要なものを処分して、家具などの配置を見直してみませんか?子どもの成長を楽しむように、少し先のライフスタイルを想像しながら快適な部屋作りが家族でできるといいですね。