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プロに聞く!暮らしと住まいの成功術PROFESSIONAL

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2022.05.26

限られたスペースでも!楽しく遊んで上手にしまう、こどもアイテム収納術

限られたスペースでも!楽しく遊んで上手にしまう、こどもアイテム収納術

サイズも形もバラバラで数が多いおもちゃ、対象年齢が短く形がそろわず本棚にしまうのが難しい絵本…こどもアイテムの収納は限られたスペースで暮らすマンションライフでは悩みの種になりがちです。子どもが小学校に上がると学用品やランドセルなど、収納するものも増えて、取り回しに悩んでいらっしゃる方もいらっしゃるのでは…?
今回は、収納の専門家に、効率的に収納スペースを抑えつつ家族みんながストレスなく過ごせる収納&遊びスペースづくりのコツを聞きました。

【取材先】
整理収納コンサルタント:本多 さおりさん

夫、長男(6歳)、二男(4歳)の4人家族。2019年に中古マンションを購入、家事がラクで家族みんなが暮らしやすい家を目指し、フルリノベーションを図る。新刊『私をあたらしくする51のこと』をはじめ著書多数。

オフィシャルHP:https://hondasaori.com/

子どもスペース、どこにする?

最近、子どもが小さいうちはあえて子ども部屋を設けず、収納を設けたリビングを中心に子ども用のスペースを展開する傾向があります。親の目が届きやすくコミュニケーションも取れるというメリットがある一方で、子どものおもちゃや服などが散らかりやすく、見た目がよくないというお悩みも…。そこで、限られたスペースを活用するマンションライフで、家族みんながストレスなく過ごすために意識したいことをお伺いしました。

家の中心であるリビングダイニングやその近くに子どもスペースを

子どもがまだ小さく、「お世話の対象」となるような年齢の間は、家で活動する時間が長くなりがち。そのため、子ども優先に空間づくりを考え、家の中で一番いいスペース(家族が長く過ごす場所)を子どものスペースとして、その周囲に子ども用のアイテムを配置するのがお薦め。結果、お世話をする側となる親の負担が軽くなり、家族全体が平和に暮らせるのだそうです。
インテリアにこだわる方に多いのが、リビングは大人のスペース、子ども用のスペースは専用の子ども部屋にとすみ分けているケース。しかし、子どもが小さいうちは大人のスペースに子どものアイテムが入り込んでくるものです。結局「片付けが面倒くさい」状況になり、それ自体がストレスの根源になることも。

子どもを生活の中心に据える生活は長くても数年と考えて

「そのうち彼ら(子どもたち)にもプライベートスペースが必要になってきて、自然と生活スタイルも変わってきます」と本多さん。それまでのごく短い期間の話だと割り切ることも、ストレスの少ないスペースの使い方につながるそうです。

暮らしの中の「モヤモヤ」「不都合」を感じ取ろう

子どもの生活スペースを中心に考え、家全体のレイアウトや物の配置を考えるにはどうしたらいいでしょうか。「心地よい暮らし」のための収納を考え、その状態を維持するための基本姿勢について確認しておきましょう。

小さな「モヤモヤ」をスルーしない

子どもに限らず心地よい暮らしを保つためには、生活のあちこちで感じる「モヤモヤ」を見過ごさないことが大切と本多さん。家での生活で感じる「モヤモヤ」「イライラ」の原因は、収納場所と使用場所のミスマッチにある場合が多く見られます。
ハサミを使いたいのに近くにない(歩いて取りに行かなければならない)ためモヤっとする、ハサミを使用後に片づけない子どもを目にしてモヤっとする…そんな小さな「モヤモヤ」を、「ちょっと動けば済むこと」と、そのまま見過ごしていませんか?人は変えようとするよりも現状に適応しようとしてしまうもので、「モヤモヤ」があっても、日々暮らしているうちに受け入れてしまうようです。しかし、ハサミの収納位置を変えるだけで、「モヤモヤ」が起こらなくなるのであれば、変えた方がいいはずです。
家族に「アレ取って、これがない」と言われ面倒に感じたり、いつも同じ場所に放置するものを片付けるたびにイライラする、と感じるのであれば、それが「モヤモヤ」の種。こういったことが起きないような収納のレイアウトを考えると、暮らしがグッと心地よくなります。

片付ける「心地よさ」を積み重ねられる生活を

最近流行の「シンデレラフィット」と言われるような、整然と収納アイテムが並んだシンプルなレイアウトは、見た目は美しいものの、その状態を保つこと自体が至難の業。整理整頓がプレッシャーになると、心地よさから遠のいてしまうこともあります。大人にとっても子どもにとっても、片付けが心地よいものであるために、片付けの仕組み自体が理解しやすく、対応しやすい「ゆるさ」を持っていることがポイントです。
特に、「子どもが小さいうちは、片付けることを無理なく習慣化することや、片付けるとどんな良いことがあるのかを体感させることが大事です」という本多さん。大人にとってはもちろん、子どもにとっても「使いたいときに使いたいものがすぐ手に取れる」という体験は心地よいもの。遊んだ後にきちんと片付けることで、次に遊ぶときにストレスなく遊びに入れるという体験を積み重ねることで、子どもたちの片付けモチベーションも上がるはずです。
また、「探しているものがない!」というシチュエーションは、片付けの重要性を伝える絶好のチャンス。片付けをおろそかにした結果「今、困る」ということを体感できます。こういう時は叱るのではなく、「お片付けしてあれば、探さないでもすぐに遊べるよね」ということを理解してもらえるよう声掛けするとよいでしょう。

年齢によって変化する、子どもアイテム収納のポイント

一言に子ども用の収納・スペース確保と言っても、年齢によって気を付けたいポイントは大きく変化します。変化が必要なタイミングと、その対応方法についてアドバイスをいただきました。

子どもスペースの見直しタイミングは?

子どもが成長していくと、だんだんと必要なアイテムや使うおもちゃは変わってきます。「保育園や幼稚園の入園」「小学校の入学」など、生活が大きく変わるタイミングに収納や部屋のレイアウトを見直すという方は多いかもしれませんが、子どもの成長はもっと短いスパンで変化するもの。本多さんによると、「生活や使うものの変化によって片付けがうまくいかなくなったとき(モヤモヤが生じたとき)が更新のタイミング」だそうです。
入学・入園前など、新生活の「準備」として新しい収納アイテムの購入やレイアウト替えを行うと、生活実態にそぐわないものとなって、結局購入したアイテムが無駄になったり、生活のモヤモヤが増えてしまったりすることもあるのだとか。後悔せずに、心地よい暮らしを保つためには、「先回りしすぎず、実際にモヤモヤが発生してから対応を考える」というスタンスも重要だそうです。

「捨てる」前に「分類」しよう

なお、子どものアイテム収納でも最も親の頭を悩ませがちなのが「おもちゃ」の収納。「片付けないならもう捨てるわよ!」などとお子さんを叱った経験のある親御さんも多いのでは? 本多さんのご家庭では、まずは子どもたちと一緒におもちゃを次の基準で「一軍」「二軍」「三軍」に分けているそう。
・一軍:今よく遊ぶお気に入りのおもちゃ
・二軍:たまに遊んだり、友達が来たら遊ぶおもちゃ
・三軍:めったに遊ばないけれども捨てられないおもちゃ
一軍、二軍はそれぞれ遊びやすいスペースに置き、三軍はまとめてしまって「寝かせて」おきます。新しいおもちゃを購入する際には、この区分を見直してみると良いでしょう。また、三軍は、タイミングを見て処分したり、お友達に譲ったりするなど、適当なタイミングで減らします。処分する前に“寝かせる”時間を作ることで心にも距離感ができて、捨てることへの心理的抵抗も減らせます。これは、大人の整理収納をする際にも使えるテクニックなのだとか。

(左)遊びやすいようにジャンルに分けて整理され、シェルフに収納された「一軍」のおもちゃ
(中)ジャンル問わず一つのカゴにまとめられた「二軍」のおもちゃ
(右)ほとんど遊ばないけれど捨てるには未練が残る「三軍」のおもちゃはボックスなどにまとめて入れ、押し入れなどで“寝かせ”ている

きょうだいがいる場合はどうする?

子どもが複数いる場合は、年齢差によって違うスペースの使い方が必要になることも。個室が必要になってしまえば逆にすっきりするかもしれませんが、それまでの間は空間の使い方に悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、最後にきょうだいのいる場合に配慮したいポイントを伺いました。

専用スペースは必要を感じたときでOK

例えば本多さんのご家庭のように同性のきょうだいの場合、子どもがある程度の年齢まではおもちゃなどは共有で使うことも多いのが現実。その場合、あえて個人個人に所有物を分ける必要もありません。実際、本多さんもきょうだいにそれぞれの収納スペースを用意しようとしたところ、うまくいかなかったという経験があるそうです。
ただし、異性のきょうだいの場合や年の差のあるきょうだいの場合は、それぞれの興味や必要に応じて早めに個人のスペースが必要になることも。とはいえ、先回りしすぎず、現状に不足や不便を感じたタイミングで検討すればOK。子どもたちと、一緒に暮らす大人たちの肌感覚で判断していきましょう。

「共有のもの」はわかりやすくまとめよう

「子どもたちが共有で使うものに関しては、本人たちが取り出しやすく戻しやすい、わかりやすい仕組みを用意してあげましょう」と本多さん。
収納というときちんと整然とものが詰められた状態を目指したくなる大人も多いかもしれませんが、子どもたちにとっては「ものが探しにくく戻しにくい」状態になってしまいます。スペースに余裕を持ち、ものがパンパンに詰まっている状態にならないように気を付けましょう。子どもたちが自分で対応できる状況を作ることで、「アレがない」「アレ持ってきて」に対応するストレスも減らせます。

今回は散らかりがちな子どもアイテムの収納についてのヒントをお届けしました。快適なマンションライフの手がかりにしてはいかがでしょうか。

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